バイアスからは逃れられない!?思考の偏りに柔軟に対応するには

バイアスからは逃れられない!?思考の偏りに柔軟に対応するには

仕事をはじめとする人間関係において、様々な視点に立った偏りのない考え方をしたいものですよね。

しかしながら、実際には様々な人と関わる中で、偏った意見を持つ人と出会ったり、自分の偏りに気づかされたりと憤ることも多いのではないでしょうか?

実は、これら「思考の偏り」は人間の心理的バイアス(傾向)に起因するものも多く、それ故、偏りのない思考は現実的に不可能であるといえます。

本記事では思考に偏りが生じる原因と、その偏りに柔軟に対応する方法について考察したいと思います。

偏りが生まれる原因

人の思考に偏りが生まれる原因は大きく以下2つです。

1.全ての人が持つ「信念」の存在

「信念」というと強い目的意識や思想をイメージする人も多いかと思いますが、心理学的には誰しもが無意識に強く信じている「思い込み」を指します。
そしてこの「思い込み」は長い人生の中で知らず知らずのうちに形成され、その人の思考や認識に大きな影響を与えると言われています。

例えば、昔から運動が苦手なら、「僕(私)は運動神経が悪い」という信念が芽生えやすく、例えやった事のないスポーツをやる場合でも最初から「どうせできないや」と考えてしまいます。
また、学生時代に勉学で優秀な成績を収めていた人なら「自分は勉強が得意だ」という信念が芽生え、学ぶことに対して抵抗がなくなります。

この様に信念とは今までの人生の中で無意識的に作られた「A=B」という定義であり、全ての人はこれらの信念を通して世界を認識しているといっても過言ではないのです。
信念にはメリットもデメリットもありますが、先ほどの例からもわかる様に、そのほとんどが論理的根拠を伴わないものであり、これこそが思考の偏りの原因なのです。

当然ながら今までの人生や育ってきた環境は人によって様々ですので、信念もまた様々。
人によってその方向や程度は違えど、思考の偏りは必ず存在するのです。

2.誰もが抱く「私は正しい」という幻想

「信念」の他にも厄介なものがあります。
それは信念や自分の考えを正当化しようとする心理的バイアスです。

代表的なものは以下の3つ

信念バイアス
非論理的であっても信念に合致する主張の方を信じる傾向
確証バイアス
無意識的に信念を正当化する情報ばかりを収集してしまう傾向
感情バイアス
心理的ストレスがかかる様な事実よりも、肯定的で心地の良い事柄を信じたがる傾向

「自分は運動神経が悪いからやりたくない」と思っている人に「君はこのスポーツに向いているからやってみるべきだ」といくら科学的な根拠を示して説明しても、中々信じることはできないでしょう。

これらはあくまで傾向ではありますが、この様に誰しも自分の考え・信念を偏りのない「正しい」ものだと信じたいのです。

偏りを受け入れるために

誰でも偏った思考を持っていて、それを正しいと本気で信じているということはこれまでの話でご理解いただけたのではないでしょうか。
では「偏りのない人などいない」という前提に立った上で、どの様にこの偏りと向き合っていけば良いのでしょうか?

1.自分の正しさを疑う

他者の意見はもちろんのこと、自分自身の考えも前述のバイアスに影響されている可能性があることを常に意識し、自分の考えを疑うことを忘れない様にすることが必要です。
自分の意見を論理的に説明できるかを頻繁に確認することで、完全ではなくともバイアスに大きく歪められることはないはずです。

2.「偏りのなさ」を求めない

人は誰しも思考の偏りがあることを自覚した上で、偏りがある事を「悪い」ことと捉えないことも大切ではないでしょうか?

極端な意見に出会った際は、それを批判するのではなく、その相手がどの様な信念を持っているのか?ということに思いを馳せる
自分の偏りに気づいた場合も不必要に自分を責めるのではなく、その裏にどんな信念が隠されているのか考えて見ることが必要だと私は考えます。

そして何より偏りは個性・オリジナリティでもあるのです。
自分にも他者にも「偏りのなさ」を求めなければストレスを感じることも少なくなるはずです。

3.一般化しない

これもバイアスになりますが、ある一部の意見の偏りを拡大解釈し、あたかもその人の思考がいつも極端なものだと認識してしまい、ひどい場合には人格自体に不快感を抱いてしまうことがあります。
これは極少数の事実からそれが全体像であると誤認してしまう過剰一般化のバイアスと呼ばれるもの

例えば、いつも気が合っていた仲間とある時、意見が食い違った際、「こんな考え方をするなんてあいつにはがっかりだ。考えてみればこれまでも・・・」といった具合です。

この様に、「偏り」を悪だと決めつけることに加え、これを全てに当てはめる思考に至ってしまうと、良好な人間関係を築けなくなってしまうので気をつけなければなりません。

まとめ

以上、思考が偏ってしまう原因と「偏り」との向き合い方をご紹介しました。
良好な人間関係を維持するためには「すべての人の思考は偏っている」という前提に立って

  1. 自分の正しさを疑う
  2. 「偏りのなさ」を求めない
  3. 一般化しない

を心がけましょう。

完璧な人はいないと自覚することで不必要に自分を責めたり、他者を批判せずに済むのではないでしょうか?

信念は偏りを生み、偏りは個性を生む。

最後までご覧いただきありがとうございました。